Monologue〜フィジコISHIIの熱苦しい独り言〜

フィジカルパフォーマンストレーナーのイシイです。仕事のこと思ってること熱苦しく呟きます。

祭りのあと。

 

正式にこんなにしっかり携わったのは初めてだったんだなと終わってから気がついた。

過去2回、スポット的に関わらせてもらったことはあったけれど、その時の選手がスタッフになってたり若手だった選手がキャプテンになっていて、驚くほどチームが若返っていた。

 

 

若いって、もうそれだけで荒削りで根拠なんかなくても勢いとかがむしゃらさとかでミラクルを起こしてくれるような可能性がたくさん感じられて見ているだけでわくわくするような、ヤンチャなエネルギーがいい。

途中から合流して年齢も一回り以上離れたオバちゃんは、なかなかブッ込めずに(笑)距離が詰められず、柄にもなくモタモタしたなと悔やまれる。

 

 

国体チームって、強豪チームがあってそこ一強での単独チーム。もしくはその強豪が母体になって普段は違うチームの上手い奴らが選ばれて、県内最強チームが出来上がる。そんなイメージだった。9年前に本国体への切符を掴み取った時は後者で、"どこからどう見てもスゴい奴ら"の寄せ集めだったんだなと今更ながらに思う。

 

 

今回はものすごく"チーム"というもの、代表チームというものについて考えさせられた。

当然、選ばれし寄せ集めチームはみんなレベルが高い。だけど寄せ集めはどんなに素晴らしくても"個"の集まりなので、代表チームというものについての考えや想い、勝利への執着心や温度差といった『そもそもそれぞれが持っているであろうもの』をどれだけ認め合い高めあいながら戦える集団になっていかなければ素晴らしい個であっても素晴らしいチームにはなり得ない。それをわずか2ヶ月という短期間で問われる。

 

実際、顔を合わせる回数を重ねるごとにチームとしての厚みというかカタチが見えてきてワクワクした。この選手たちはどんな化学反応を起こすんだろうって。

 

今大会、完全な選ばれし寄せ集めの選抜チームはうちだけだった。他は母体チームがあって、そこに補強がちょこちょこ。そうなると圧倒的にチームとしての成熟度はうちが不利なようにも思えた。けど、どっちでもいい。大会である以上、県の代表として戦う以上、プロでなくともこの大会だけは勝つことを求められる。でもだからといって『強けりゃいい、勝てればいい』というのはちょっと違うのではないかと。もちろん強いこと、勝てることは魅力の一つになる。だが県の代表、しかも成年チームとなるとこれだけではいかんと思うのです(古臭い?)

寄せ集めチームの場合は各々の会社や職場に選手派遣依頼文書を提出し、休みをもらって来てる選手が大半。それって、当たり前じゃない。もちろん、本人がここまで真剣に競技に向き合ってきた結果であって本人の努力あってこそ。でも自分一人ではなく誰かに支えられてここまで来れたということを忘れてはいけないと思うのです。それが、感謝の気持ち。

 

寄せ集めの選抜チームは言ってみれば期間限定のパリサンジェルマンや、レアル・マドリードみたいなもの。ただそれが金銭面や待遇面ではなく『県の代表』として選ばれたっていう誇りとPRIDEを胸に集まって、プレーはもちろん人間的にも子供たちが憧れて、近しい人たちは『うちの職場の若い奴でさ!』みたいに自慢したくなる選手がいて、ただその場に居合わせた観客の人たちが応援したくなるチームが県の成年チームだなんてものすごく素敵だと思うのだ。単独の最強チームももちろんカッコいいけど、寄せ集めには寄せ集めのカッコ良さがあっていい。

 

今回、旧知のスタッフ陣と3週間という短い期間だったけど共に過ごして、そんなチームをつくるお手伝いがこの先も出来たら最高に幸せだなと思った。

 

 

初戦でとてつもなくいい試合をして、わくわくした。2戦目をしっかり勝って2日目に繋げて、心は本国体に行ってた(笑)浮き足立ってた…わけではないと思うけれど、本当に本当にちょっとしたことで勝利の女神の心を掴めなかったのかもしれない。どんなに離されても信じてた。4ピリでようやく追いついたときも勝利しか信じてなかった。それだけに、喪失感は大きかった。

選手たちはそれ以上に悔しかった、と思う。

どれだけの選手がどれだけ悔しいと感じたか。
悔しいって気持ちは、ナマモノと一緒だと思うのだ。その刹那に感じた『悔しい』って気持ちをどれだけ鮮度良く刻みこんで忘れずに努力出来るか。悔しさの鮮度って、意外にすぐに落ちると思うのです。賞味期限数分の、どっかのシュークリームみたいに(笑)

悲しいことに忘れてくのです、悔しさを。

そしてまた似たような悔しさに再会したりする。その時に後悔しても遅いし、悔しいって思わなくなったらそれこそ終わりなのよ。

 

でも残念なことに嬉しかったことってずーーーっと浸れたりするんです。いつまでも過去の栄光を手放せずにだんだん美化されてったりして。

いつも言うんだけど…キンキンの生ビールがいちばん美味い。ぬるくなって泡も消えたビールを美味い美味いって呑める?キンキンの方が美味かったなぁ〜なんて思いながらぬっるいビール呑んでたって美味しくないじゃない。

 

いつだってキンキンに冷えた生ビールが呑みたーーーい!って思ってる人が、最後に勝つ人。ワタシはそう思う。そんでもってそういう人のために惜しみなく尽力したいと思うのです。

 

 

もっともっと、"チーム"になっていく姿を見たかったし、もっともっと、みんなの測り知れないノビシロを近くで見たかった。

 


大人の青春は、学生時代とは違って自分で幕引きが出来るようにみえて、意図せずある日突然訪れたりもする。自分の力ではどうにもならないことでやれなくなることだってある。

いつまでも思い描いたように競技が続けられるわけじゃない。


だからこそ。
"やっておけばよかった"じゃなくて

"やっておいてよかった!"って

 

最高の瞬間を何度も上書き出来るように

"今砌の今を精一杯に"

感謝や仲間へのリスペクトを忘れずに、もっともっと貪欲になってほしい。選ばれたみんなだから。


みんなの活躍がいろんなところから聞こえてくるのを、観られることを心の底から楽しみにしてるから。

 

残念ながら終わってしまったけど、きっともっともっとパワフルになったみんなにまた会えると信じて。夢見せてくれてありがとう。

 

 

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