Monologue〜フィジコISHIIの熱苦しい独り言〜

フィジカルパフォーマンストレーナーのイシイです。仕事のこと思ってること熱苦しく呟きます。

財産。

 

根拠は、ない。いやないわけじゃない(笑)

ちゃんとそのための準備はしてきたつもりだ。

 

初戦は、奇しくも昨年のこの大会の、しかも初戦で思わぬ負けを喫した因縁の相手。ちょっとした不安はありつつも帯同出来ず前半だけYouTubeで観戦。なかなか苦しい、9点差を追いかける展開。ああっ、気になるから観るんじゃなかった!!とちょっと後悔(笑)勝利報告の連絡をもらって飛び上がるくらい嬉しかった。後々、ニュースで最後のトライシーン観て腰抜かしそうになった。15-12、土壇場で2年生が逆転トライを決めた大逆転勝利。なんつー試合!!(◎Д◎)

 

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まさに九死に一生!!

それもあって、準決勝は勝つ未来しか見えなかったわけです。

 

でも、

どんなに準備をしても想定外のことは起きる。

アタシがチームに合流した時はもうその"想定外"はとうに起きていた。でも、なんていうかそんなの関係なく(辛勝になるかもしれないが)勝つだろうな、と疑わなかった。アタシにしたら珍しい。想定外は想定外で覆して新たなヒーローが生まれて、雨降って地固まる、的な状態で決勝に乗り込んでいくだろう、と。

 

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前半は我慢比べ。

お互いあと一歩のところまでいきながら決まらない。悪くはない。ただ、先制トライは先に取りたい。お互いに重なる、小さなミスやペナルティ。

前半27分。

待望の先制トライを取ったのは相手だった。え、なんで、と思うくらい止められずあれやあれという間に抜けて中央に決められてしまった。

 

嫌な時間だなとは思ったものの、わずか5分も経たないうちに取り返した。CKは外れて5 - 7で前半を折り返した。

 

悪くない。

良くもないけど、悪くはなかった。

後半、先にトライを決めて追いつければやってくれるだろう。体格的にはやや劣るもののフィットネスでは負けていない。ここからが勝負だ、と。

 

ところが後半開始早々、これまた悔しい形でトライを決められてしまう。CKは外れて5 - 12。

まだ、焦るような時間じゃない。

ゴール下に集まる選手たちの目も、当然のことながら諦めた顔はしていなかった。

 

なかなか敵陣へ切り込めないものの、しぶとくしぶとくDFで食らいついて追加点を与えない。小さいミスが、攻撃の足を引っ張る。

 

そのまま、ノーサイド

5 - 12。花園への挑戦は幕を閉じた。

 

泣き崩れる選手に歩み寄り、整列を促す。

アタシはというと。

不思議と涙は出なかった。

精一杯、やった結果だもの。

決勝の景色を見せてあげたかった。あの舞台に立ったことがあるか否か。それだけでも変わる。その舞台に足を踏み入れる資格は十分にあった。

 

このチームに来て、5回目の花園予選。

最初の年は決勝の舞台に立ってめちゃくちゃいい試合だった、と賛辞を頂いた。

でもそれ以降は手が届かなくて、準決勝にすら進まない年もあった。

年々、厳しさを増して追い込んだ。

あれだけ頑張っても先輩たちは勝てなかった。

まだまだ厳しくいかないと、本気で追い込まないとあそこには行けないんだよ、と言い続けた。

人生で一度くらいは限界突破するくらい追い込んだってバチは当たらない。むしろ、その経験は必ずこの先の人生で自信になる。少なくともアタシはそう思ってる。だから毎回声を枯らして厳しい言葉を投げかけて追い込んで…本気で、選手と向き合ってきた。だからこそ一緒に決勝の舞台に立つ未来しか思い描いていなかった。そして、その先もこの選手たちなら連れて行ってくれるんじゃないかと本気で信じていた。

 

 

最後の挨拶を監督に促されたけど、正直…話したくなかった。だって、一言でも発したら涙腺が崩壊しそうだったから(笑)優勝して泣かせて!って散々言ってきたし、このチームに来てから負けて泣いたことは…(一度あったかもしれないけど)ない、はず。

 

嗚咽を抑えきれなくて涙を流す選手たちを前に、うまいこと言えず…、一言、口を開いたらもう、ダメだった(笑)格好つけてるわけじゃなく、泣かないでちゃんとお礼を言いたかった。3年間ありがとうって。そして、力になれなくてごめんって。監督にも、ありがとう、しっかり成果出てたよ、と言っていただいたけど…やっぱり勝ちに繋がらないのは素直に受け取れず、どんな顔をしていいか、どう返していいのかわからず…。自分の力不足も、間違いなく否めないのだ。

3年生と、決勝に行きたかった。

だから、『俺等の代もきついトレーニングよろしくお願いします。この気持ちは忘れません。』と2年生からメッセージをもらって、有難いなと思った。まだアタシを信じてくれていることに、共に戦いたいと思ってくれることが何より嬉しかった。また、一緒にあの舞台を目指すことを容認してもらえたようで。

 

悔しいって気持ちは、ナマモノだから。

アタシは絶対忘れない。

勝ちたかったけど、悔しさも味わえるのは選手たちのおかげ。本当に本当に、ありがとう。

 

このチームにアタシを呼んでくれた監督にも。

感謝しかありません。

監督のつくるチームは本当に毎年いい選手たちばかりで、元気があって頑張るいいチーム。本当に幸せでした。

 

今までの選手たちとも会いたいなーー!!

会いたくないって言われるかなーー!!笑笑

何と言われても、財産なのよ。

好きだと言われようが顔も見たくない!と言われようが(笑)出会ったチーム、選手、保護者、スタッフ…全て、今のアタシをつくってるもの。

トレーナー人生21年。数えきれない人たちと出会って感謝されたり罵倒されたり、いろいろ。

たくさん泣いてたくさん笑ってきた。

全て財産。あとどれくらい増やせるんだろう。

 

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監督の元、花園に挑んだ5回のシーズン。

いつもアタシを笑顔で迎え入れてくれた選手たちに感謝です。