Monologue〜フィジコISHIIの熱苦しい独り言〜

フィジカルパフォーマンストレーナーのイシイです。仕事のこと思ってること熱苦しく呟きます。

透明人間、現る。

遡ることふた昔ほど前。

 

アタシは透明人間でした(笑)自ら望んでなったわけではないけれど。

確かにそこにいるのに、そこにいないのも同然で、ただただ黙ってギャラリーで練習を見て、終わったら帰る。その、繰り返し。

何のために来てるのかなんて考えたら負けだと思った。感情を殺して、ただ彼らがもしも困ったときに何か力になる(…そのもしもはほぼ無いに等しかったけれど)。

 

 

そのチームで2年目のことだった。

最上級生が同い年になり、前年以上に絆も深まって、もっと力になれるはず…なんて思って期待に胸を膨らませていたのに。それは妄想に過ぎなかった。彼らにとってアタシはまるっきり居ても居なくても変わらない、透明人間のような存在だった。試合の時こそベンチに入るものの、これと言って何をするでもなく下級生とともに雑用をこなす。トレーナーとしての存在価値など微塵もなかった。2年目、そんなもんなのかもしれない。1年目が上手くいき過ぎただけだったのかもしれない。卒業してすぐフリーランスで始めたアタシにとってこの2年目の試練はとてつもなくしんどかった。

そのシーズンは春と秋のリーグ戦はおろか、冬のインカレの戦績も含めてシーズンの全て何一つ記憶に残ってないっていう(笑)

翌年は打って変わってものすごくやりやすくて一生懸命で。なのになかなか勝てないっていうヤキモキしたシーズンだった。

その年の後輩たちの試合を観にきた”去年の選手”の一人に、珍しく声を掛けられた。
彼から掛けられた言葉は意外なもので。
もうそんな明確には覚えてないけど、あの頃は悪かった、今ならあの頃の有り難みがわかる、そんなニュアンスの言葉だった。
ああ、アタシのあの一年は無駄じゃなかった。
諦めなくて良かった。透明人間でも行き続けて良かった…そう思ったのもつかの間、違う考えが顔をのぞかせた。認めてもらえなくても頼りにされなくても。もしも何かあったときにその場に居なかったら絶対に自分が後悔する。意地の核心は間違いなくコレ。彼らのためという大義名分のもとに、実は誰のためでもなくいちばんは自分のためだったんじゃないか…って。意地だった。意地だったけど、何か彼らが困ったその時は、透明人間だったことは水に流して迷うことなく手を差し伸べよう、それが自分の使命だと。透明人間であることに耐え切れず感情のままにその場から去ったり、足を運ぶ頻度を減らしたりしても誰にもきっと咎められることはなかったとは思う。でも、立ち去ることもしなかったし頻度が減ることもなかったし、誰にも愚痴もこぼさなかった…あ。(いや、これは単にこぼせる相手がいなかったってだけ)

何が正解で何が間違いなのかはわからない。
けれど彼の一言であの頃の自分が一瞬救われたことは間違いなかった。
熱意はどんなに時間がかかったとしても必ず、誰か一人にだったとしても伝わるんだ…確かにそう思えた。

 

 

とある選手から、全選手の前で全否定されたことがある。
悔しかったけど正面から全て受け止めた。彼がそう思うのなら仕方がない、と。
それはボタンの掛け違いといえば聞こえはいいけれど私と彼は分かり合えなかったということ。彼の信頼を得ることが出来なかった、それだけのこと。目指す方向は同じだったけど、受け入れてもらえなかった。ただそれだけのこと。
私にだって言い分はある。あった。でも選手ファーストだと思っているし、当時の監督も私には非はない、と仰ってくだっさていた。それでも信頼関係が破綻しているならい続けるべきではない…。その日を最後に私はそのチームから身を引かせてもらった。
当の本人から数年後、何事もなかったかのようにSNSで絡みがあった時は驚いた。あの日、悔しさと悲しさでボロボロ泣きながら帰った私の涙を返せ――――ッ!!!!(笑)なんて。そんなことを今の今まで覚えてる執念深さ…嫌な性格ね(笑)

 

 

閑話休題
どんなに傷付いても苦しくても、絶対に自分から炎は消さないと言い聞かせてる。外からは消えたように見えてもいい。誰かに消そうと水をかけられたりしたとしても、じっと耐えて燻りながら燃やし続ける。消すなら自分で。消すのは辞めるとき。透明人間になってもそこに居続けるのはどんなにつらくても今火を消す覚悟が出来ていない証拠、だと思うのです。透明人間になっても、炎は消すな!なんてな。