繋がりというのは、どこでどう繋がるかわからないものだ。
この人の作品を手に取る未来は、ついひと月前には想像もつかなかった。
恐らく、田中泰延氏の本を読まなければ出会わなかった作品。
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読み終えてから知ったのだけど、ちょうど読み終えたタイミングとほぼ同時期に映像化が公開されていた。
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この作品、作者はもちろん小説家。加えてエッセイスト、そしてとりわけ異色なのはテレビ美術制作会社で企画、人事担当ということ。
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多分、イマドキの言葉で端的に感想を言うなら"エモい"。ただ、ちょっとパンチが強過ぎて一度ではアタシの頭が追いつかなかった(笑)映像として観てみたい。森山未來と伊藤沙莉。完璧じゃないか!(笑)そのあとでもう一度読み直すのがいいかも。
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『ねえ、努力すれば夢って叶うのかな?』
『その質問は、ナポリタンは作れるか? と一緒だと思う。たぶん手順を踏めば誰もが必ず近いものにたどり着く。もし手順通りできたとしても、たとえそれが失敗したとしても、問題はそれを誰と一緒に味わうかなんじゃないかー
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わかる!!わかり過ぎるくらい腹落ちした。
そう、努力すれば叶うか、なんて愚問だ。
誰だって頑張ってる。頑張ってなくても代替えや手抜きしても叶えてしまう人もいる。正規の作り方でナポリタンを作る人もいれば、時短で"っぽい"ナポリタンを作る人もいる。誰とどんな成功を味わいたいかで努力の仕方は変わる。燃え殻さんの言葉の選び方とか表現がいい。物語が温度を持って、あたかも自分の記憶のような感覚になった。自分には、経験のないことだらけなのに。
糸井重里氏が『R&Bを聴いてるよう』とコメントしたとか。うまい。いや、さすがです。そう、まさにそんな気だるさとエモさ。
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『すべて忘れてしまうから』
『これはただの夏』
『夢に迷って、タクシーを』
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惹かれるタイトルばかりだけれど。
言葉の選び方も表現も好きなんだけど。
また読むには、ある程度の覚悟がいるのも確か(笑)それはワタシがR&Bを好んで聴く人間ではないから、なのか。
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なんのオチもない。
ただの読書記録でした。